生命(いのち)を育む思想 〜薬害エイズと医療〜
2006年10月14日(土) 14:00~16:30 基調講演
ドーンセンター ホール(大阪市)
2006年10月15日(日) 9:00~17:00 フォーラムズ 薬害エイズと医療
ライフサイエンスセンター(豊中市)
主催:特定非営利活動法人 ネットワーク医療と人権
後援:輸入血液製剤によるHIV感染問題調査研究委員会
薬害や医療の在り方の問題を考えるとき、私たちは常に、当事者の視点に立つことの重要性を指摘し続けてきました。ここ数年は特に、医療をより良くしようという文脈の中で「患者中心の医療」の重要性が語られるようになりました。また、こうした考え方を具体的に医療現場に取り入れてゆくことも試みられるようになりました。
しかしながら、患者や専門家、行政などそれぞれの立場で最善を求める努力が、必ずしも最善の結果を生み出すとは限らないばかりか、むしろ状況を悪くする事すらあるように思われます。「医療者と患者が目指しているものは本当に同じものなのか?」という疑問を投げかけられる場面も少なくありません。こうした観点に立てば、「当事者の視点に立つ」という言葉の意味も自明のものではなくなります。
「薬害エイズ」と呼ばれる一連の出来事の中で、私たちは特に医療者と患者の関係に着目してきました。その主たる調査研究である「輸入血液製剤によるHIV感染問題調査研究委員会(委員長 養老孟司)」の成果を中心に据えながら、今日の医療にまつわる問題をさまざまな視点から考える機会を持ちたいと思いました。
「生命を育む思想 ~薬害エイズと医療~」は、患者と医療者の間に横たわっている今日的課題を「薬害エイズ」の社会学的調査の諸成果を通して知っていただき、医療や薬害の問題に独自の視点で取り組んでいる当事者や研究者とともに、「当事者の視点と語り」「科学と技術」「身体性」「公共空間」等々をキーワードに、薬害エイズと医療についてじっくり考えてみようという企画です。
医学・社会学・哲学そして当事者たちがスリリングに交錯する「生命を育む思想 ~薬害エイズと医療~」。多くの方々にご参加いただければ幸いです。
10/14(SAT)14:00~16:30 基調講演 @ドーンセンター ホール
- 基調講演(14:00~15:30)
「未知なる事態に於ける科学者の役割と責任」
小林傳司(大阪大学コミュニケーションデザインセンター)
「治療行為の不確実性と所与の存在としての患者」
養老孟司(養老研究所) - パネルディスカッション(15:40~16:30)
パネリスト:小林傳司、養老孟司、花井十伍(大阪HIV薬害訴訟原告団)
10/15(SUN)9:00~17:00 フォーラムズ 薬害エイズと医療 @ライフサイエンスセンター
【サイエンスホール】
- フォーラム1 生まれること、生むこと 優生思想と当事者(9:00~10:30)
パネリスト:
増山ゆかり(財団法人いしずえ)、松原洋子(立命館大学大学院)、早川寿美代(大阪ヘモフィリア友の会) - フォーラム2 水俣病と現在(10:40~12:10)
パネリスト:
木野茂(立命館大学大学教育開発・支援センター)、坂本美代子(チッソ水俣病関西訴訟原告)、藤田三奈子(甲南女子高校教諭)
【会議室(501-503)】
- フォーラム3 医療における医学と倫理(9:00~10:30)
パネリスト:
勝村久司(陣痛促進剤による被害を考える会)、粂和彦(熊本大学発生医学研究センター)、花井十伍(大阪HIV薬害訴訟原告団) -
フォーラム4 医師と患者の語りから エビデンス・ベイスド・メディスンとナラティブ・ベイスド・メディスン(10:40~12:10)
パネリスト:
蘭由岐子(神戸市看護大学)、日笠聡(兵庫医科大学)、山田富秋(松山大学大学院)
【ライフホール】
- フォーラム5 薬害エイズ調査からの報告(13:00~15:30)
<薬害HIV感染被害者(患者・家族・遺族)生活実態調査から>
パネリスト:伊藤美樹子(大阪大学大学院)、溝田友里(東京大学大学院)、山崎喜比古(東京大学大学院)
<輸入血液製剤によるHIV感染問題調査研究から>
パネリスト:種田博之(産業医科大学)、横田恵子(神戸女学院大学)、好井裕明(筑波大学大学院) -
全体総括(15:40~17:00)
座長:村上陽一郎(国際基督教大学大学院)
報告はこちらから(MERSニュースレターNo.14より)
概要報告は こちら(MERSニュースレターNo.13より)