日本血液製剤機構(JB)千歳工場見学ツアー報告 | ネットワーク医療と人権 (MERS)

日本血液製剤機構(JB)千歳工場見学ツアー報告

  日本血液製剤機構(JB)千歳工場 見学ツアー報告      

                                         ケアーズ事務局

 ケアーズ事務局では、数年ぶりに日本血液製剤機構(JB、旧・日本赤十字社)千歳工場の見学ツアーを企画しました。
 血漿分画製剤のクロスエイトMC、グロブリン、アルブミンなどの製造工程の見学の他、血液の実験(血液型のクロスマッチング、凝固過程の観察など)を実施していただきました。
 見学ツアーの概要(目的、日時、対象者、スケジュール等)は下記の通りです。なお参加者および引率者からのレポート・写真を掲載いたします。

実施の目的:

 血友病患者として、献血の血液から治療製剤がどのように作られていくのか、安全性はどうやって確保されるのか、血液型の判別、凝固因子の働きなどを実際に見学・体験します。血液の働き、献血の大切さ、凝固因子製剤の安全性・供給に対する認識を高めてもらいます。併せて自分たちの周りの人たち(家族、学校、友だちなど)へ見学・体験報告を行い、得られた知識や経験、感想などを伝えることを目的としています。

日 時:2017年3月20日(月・祝)-22日(水)2泊3日

場 所:一般社団法人日本血液製剤機構 千歳工場 北海道千歳市

対象者:小学校高学年以上〜高校生

     自己注射のできる血友病患者、および、その姉妹、娘

募集人数:先着6名

申込み〆切:2016年12月9日(募集定員に達した時点で〆切とします)

補助内容:

 下記の経費を負担します。ただし集合・解散場所(空港)と自宅間につきましては交通費をご負担下さい。

  • 往復航空券:関西空港<=>新千歳空港、北海道内の移動旅費
  • 2泊3日の宿泊費および食費(懇親会費用含む)

参加条件:

  • 治療製剤を持参し自己注射ができること。
  • 参加レポートを提出していただきます。
  • 参加レポートを機関紙やホームページ等での公開を了承できること(匿名可)。

見学ツアーの概要

  • 若手患者2名(高校生、20代)が引率します。

スケジュール(予定)

 3/20 千歳駅前のホテル宿泊
   8:40 関西空港集合、国内線・JALカウンター付近
    搭乗手続き(荷物預け)
   9:35 JAL2501便 
  11:25 新千歳空港着
    14:00頃までフリータイム・空港内で昼食
  14:00 エアポート135号(小樽行)
  14:07 千歳駅着
  15:00 ホテルルートイン千歳駅前 チェックイン
    夕食(懇親会)まで、フリータイム
  18:30 夕食・JB案内スタッフとの懇親会

 3/21 札幌市内のホテル宿泊
   7:00 ホテルにて朝食
   8:30 ホテルチェックアウト、血漿分画センターへ移動
   9:00 血漿分画センター着、オリエンテーション
     :30 見学開始
  11:30 見学終了、昼食
  13:00 血液実験スタート
  16:00 講演「ヘモフィリアユースの活動意義」
  17:30 血漿分画センター出発、札幌へ移動
  18:07 千歳駅発=>札幌駅、エアポート181号(小樽行)
  18:37 札幌駅着
  19:00 ホテルWBF札幌中央 チェックイン
  19:30 札幌市内で夕食

 3/22
   8:00 ホテルにて朝食
  10:00 ホテルチェックアウト
    16:00頃までフリータイム・市内観光・市場等で昼食
  16:05 札幌駅発=>新千歳空港、エアポート160号(新千歳空港行)
  16:42 新千歳空港着、搭乗手続き(荷物預け)
    17:30頃までフリータイム・お土産購入など
  18:20 JAL2506便 新千歳空港=>関西空港
  20:35 関西空港着
  20:50 関西空港到着ロビー解散

憧れの工場見学

   大阪ヘモフィリア友の会  早川 誠也
 

 3月20~22日に一般社団法人日本血液製剤機構千歳工場見学に行ってきました。
 僕は小学生の時より千歳工場の見学に憧れていたので今回参加させていただいて嬉しかったです。
 僕が工場見学に憧れていた理由は、自分が薬を使っていてなぜこんな小さいビンや注射器の中にある粉と液体にして作っているところを生で見てみたかったと言うのもあり、兄が一回は見た方が良いと言うてたので憧れていました。


 
 工場についてすぐに事務所にて、工場長より千歳工場の内容をご説明いただきました。血液製剤は、貴重な献血血液を原料として製造されるため「善意と医療のかけ橋」という理念をしているそうです。
説明の後はビデオ、そして実際の工場見学です。血液製剤は、「血漿分画製剤」と呼ばれ、血液を「血球成分」と「血漿成分」に分け、その血漿から医薬品として有用なたんぱく質を分離・精製し製品化します。工程内容は主に11工程あるようです。その一工程には細かい様々な工程内容があるようです。

 それと様々な部門係もあるようです。

 この分画工場は全国でも千歳工場を含め4カ所(うち、JBには2カ所)しかないそうです。
  血液は-20度を保持したクーリングコンテナで受け入れられます。その後-30度の冷凍倉庫で6か月間保管されます。これは感染リスクを排除するため、ちなみに主に東日本で採血された献血血液のサンプルも11年間保管されています。この冷凍倉庫は、血漿が封入されているビニールバックに貼付されたバーコードに霜がおりて読み取り不可にならないように、除湿器を通し乾燥した空気が庫内を循環しており 、息を吐いても息が白くなりません。たださすがに-30度、1分もいることはできませんでしたが。

 その後の製剤棟では、冷凍された血漿をバックから取り出し、遠心分離機で分離し沈殿を取り出し、上清はタンクに受け入れアルコールや緩衝液の添加を繰り返し、その各工程で性質の違う様々な血液製剤が作られていきます。血液製剤は凍結乾燥による粉状の製剤と液状の製剤に分けられ、粉状の製剤は、注射用水で溶いて血友病の薬として使われているということです。血友病の薬を1本作るのに必要な血液は400mlバックで12人分。まさにこの薬が「善意」の結晶であるということが良くわかります。

 1時間半ほどの工場見学でしたが、初めて見る工程はとても興味深く、また血液製剤という製品の性質上、大変厳しい品質管理をされているのだと理解しました。

初めてだらけの経験

大阪ヘモフィリア友の会 早川 和実

 初めての北海道に飛行機。
北海道についた時は今までに見たことのない雪を見た。
ジンギスカンも初めて食べた。すごく美味しかった。
1日目は初めての体験ばかりで楽しかった。

 2日目は工場見学。
 工場は想像していたよりもずっとひろかった。見学が始まると中はとても清潔にされていて、私もマスク、手袋や帽子など肌を全く見せていなかったのを鏡でみて、環境をすごく気にしているのだと思った。使う方も安心して使えると思った。また、製剤を作る工程がいくつもあって、複雑で驚いた。工場見学で一番印象に残ったのは、凍らしている輸血用血液製剤を溶かしているところだった。
 工場見学が終わり、実験では普段使うことの出来ない物を使って人の血液型を調べることが出来て楽しかった。


最終日は時計台を見たり、お土産を買ったり、観光をした。沢山の経験が出来て良かった。

 

和歌山ヘモフィリア友の会 池口 大樹

 

引率者からのレポート JB工場見学を終えて

和歌山ヘモフィリア友の会  谷岡 佑磨

 私は、今回初めて引率者として参加しました。そこで、引率者としての様々な苦労を知りました。普段の生活では味わうことのできない感動も体験させていただきました。
 
今回の工場見学では、前回(約七年前)に私が参加した時とはまた違う体験となりました。例えば、血小板などを保存している冷凍庫や、前回は動いていなかったパックに入った血小板の取り出し工程などです。そのほぼすべての作業工程で、必ずある大きな金属製のタンクの一つ一つがそれぞれの工程進んでいき徐々にタンクが小さくなっていくのを見て、多くの人に献血して頂いた血液(血漿)中から製剤で使用できる成分の量がかなり少ないことを実感しました。そうした中で、私は作業工程内で使用する薬品を変えた結果これだけしか製造できないと言うのを聞いて、これ以上の効率化はできないものかと見学中に考えさせられました。
 私にとって、今回の見学の一つの楽しみは、体験型の血液実験です。前回と内容は似たようなものでしたが、血液型の検査や顕微鏡を使って血液中の成分の観察が出来ました。次回以降での見学の際には、実験内容を変えるらしいので楽しみです。
 今回の工場見学を通して、私は3つの事を感じました。1つ目は、引率者としての色々な事を学べたことです。例えば、その時必要な電車だけを探すのではなく前後10~20分の電車を探すなどです。2つ目は、私の持病である「血友病」についてです。私たちは製剤を注射していれば普通の健常者と変わらずに生活ができるということです。私はそれを「病気」としてとらえるのではなく「個性」としてとらえ、「私は病気だから」という理由だけで自分自身に制限を掛けることをやめようと思いました。3つ目は、これから私は、血友病の事について受信者ではなく、発信者の一人として学んでいたいと思います。その為には、様々なイベントに積極的に参加し、正しい情報を得ていきたいと思いました。そのうえで、多くの患者さんだけでなく、その家族に知ってもらい理解を深めてほしいと思いました。JBの見学をはじめ、この様な体験や活動を通して正しい理解を広めていきたいです。
 今回、これほどの素晴らしい企画を作ってくれたケアーズの方々、工場見学をさせてもらったJBの皆さま、このたびは色々とお世話になりありがとうございました。これからも、私はこの「個性」について勉強し、いろいろな活動に活かしていきたいと思います。
 これからもどうぞ宜しくお願いします。

JB 千歳工場見学ツアー 参加レポ 2017年 3月20日~22日 北海道

大阪ヘモフィリア友の会 早川 祐哉

 
 我々血友病患者は日々の生活において凝固因子製剤は切っても切り離せない存在で、その製剤がどのようにして作られているかを実際に目で見るということは血友病ライフに多大な経験値をもたらすだろうと思っています。今回はCARESの主催で企画・決行され、募集要項が血友病患者のみではなく患者の姉妹及び娘も対象となっていたことが印象的でした。大阪友の会、和歌山友の会から合計5名(引率含む)が参加しました。

 20日朝、5人の参加者がそれぞれの親やCARESの若生氏に見送られ、関西空港から飛び立ちました。
 前日夜更かしをしたためにずっと寝ている者もいれば、初めての飛行機、加えて初めての北海道のため高揚し、ずっと窓の外を見ている者もいました。その日は天気がとてもよく、地上がよく見えました。志摩半島に南アルプスの山々、地図で見た特徴的な男鹿半島や津軽半島及び下北半島。やはり写真でしか見たことのないものを実物で見るというのは経験としてとてもいいものだと感じます。小学生のとき日本の山脈や半島の名前を苦労して暗記しましたが、当時同様の景色を見ていれば、たやすく暗記できただろうと私も窓の外を見ながらふと思いました。
 二時間弱のフライトを終え、新千歳空港に到着。せっかく北海道に来たのだから北海道らしいものを食べたいということで、空港内にある北海道ラーメン道場で北の大地のラーメンに舌鼓を皆でうちました。
 外はコートがいらないぐらいぽかぽかとしており、大阪とあまり変わらぬ体感温度でした。そこいらの雪はかなり融解が進んでおり、見栄えは悪いが雪に苦労はしない、足の悪い私には恵まれた環境でありました。

 21日、本ツアーのメインイベントである工場見学。始めに工場長の挨拶、JB及び工場の概要のプレゼンを受け、工場の見学に出発しました。
 順路を進むと要所に説明用パネルがあり、機材やパネルを指しながら説明を受けます。分画した血漿を保管する冷凍室は-30℃で、参加者は現実離れした冷気に一様に身震いしていました。案内員の方のご厚意で熱々の濡れタオルを持ってきて下さり、テレビで見たことがあるような、タオルを振り回して凍っていく様子を見せていただきました。
 私自身一番印象的だったことは凍結パックされた原料血漿を人力で袋から取り出し、融解炉に流し込んでいく作業でした。凍結パックに機械で切れ込みを入れ、人力でパックと凍結血漿を分解し血漿を炉に流し込む。以前は機械作業でこの工程を行っていたらしいが、やはり人力のほうが凍結血漿の取りこぼしが少ないとのことで今の形になったそうです。取りこぼしがどの程度であったかは分かりませんが、人から頂いた血漿を少しでも無駄にしないというその姿勢に感銘を受けました。

職員の説明を受ける参加者

 
 融解した原料血漿からクリオプレシピテートを生成するのですが、一定量の原料血漿がないとその工程が始まらない為、時間の関係上、私たちがその現物を見ることはかないませんでした。また生成されたクリオプレシピテートは時間とともに保有する第Ⅷ因子が減少していくので、生成後すぐに次の工程に移らなければいけないため、それを保管していることはありません。映像とパネルでは見ましたが、「餅みたいな」と表現するそれを生で見てみたかったものです。
 その後、液状加熱処理、ウイルス除去膜によるろ過処理によるウイルスの除去・不活化処理を施し、冷凍乾燥処理を施して粉末化、我々が知っている第Ⅷ因子製剤に変身していきます。凍結乾燥~瓶詰の工程はかなり滅菌された室内の作業となるため私たちは現場に入ることは叶いませんでしたが、見学の冒頭にあったプレゼン内の映像と隣接する作業室の小窓から中の様子を窺うことができました。

 見学後は社内食堂での昼食を経て、職員による血液実験を行いました。内容は職員の血液を用いて赤血球や白血球の観察、血液の分画、加えてABO型血液型判定実験、凝固実験です。工場見学では普段聞きなれない単語に理解に苦しんでいる参加者の様子も見受けられましたが、普段通う中・高等学校では絶対出来ない参加型の実験のため意気揚々と楽しんでいました。

 実験後、私は多くの職員に時間を頂き、皆様の前で「ヘモフィリアユースの活動意義」という題で話をさせていただきました。これはここ数年私が提唱しているテーマであり、今後の我々の血友病社会の環境保持のために、人任せではなく、これからを生きる私達が活動すべきという内容になります。

 
 血友病治療は日々進歩を遂げており、障害もなければ激しいスポーツもできる、個人差は大いにありますが、極端な表現をすれば、定期投与しているだけでいい、全く別物のような病気に変化したのではと感じています。私は今ある環境を作って頂いた、現在も保持し続けて頂いている諸先輩方に感謝すると共に、いずれ来る世代交代、及び再び起こりうるかもしれない薬害や様々な困難のために知識や知恵、経験を養い、誰かがやってくれると考えるのではなく、自分の体を守るためにも自ら活動すべきだと考えております。そのための活動組織としてYouth Hemophiliac Clubを設立し、昨年オーランドで開催されたWFH世界大会にて世界中のユースの勉強会に参加してきたことも報告させて頂きました。

 
 正直、工場職員にお話しする内容ではないのではないかとも思ったのですが、今の環境を作ってくれているのはメーカーの技術のおかげであることも大いにあるので、この業界に関わり続けてくれていることへの感謝の念が伝わっていれば、と思っています。

 22日は夕方の飛行機の時間まで札幌市内を観光、お土産の購入などで参加者は一日を過ごしました。特に明記することもないので省略させていただきます。

 私の本工場の見学は3度目になりまして、初めての参加は2004年の夏になります。3度目ともなれば見慣れたものだろうと思っていたのですが、年齢が違えば見えるものや理解度が違い、非常に新鮮な気持ちで本ツアーを楽しめました。また初めての引率者側という立場を経験し、引率する事の大変さを思い知らされ、今まで引率してくださった諸先輩方への感謝の念が止まりませんでした。JBの職員にも私のやんちゃぶりが記憶に焼き付いているようで、高台から飛び降りる幼少時の私の姿にひやひやしたと思い出話を頂きました。
 ただ血友病だからと言って安静にしなければいけないというのはおかしいと幼少時から私は思っていました。確かに、けがをするような事をわざわざするというのはいかがなものかと思いますが、したいことをして何が悪いのだろうということです。先程も少し書きましたが、今はしたいことができる時代です。何事にも挑戦するにあたって、自分自身の体のことを誰よりも理解することでもっと様々なことに挑戦できるようになるだろうと私は考えています。
 次回があるかはわかりませんが、もしまた見学する機会が出来た時には皆さんも参加してみてはいかがでしょうか。たとえ自分の使用している薬剤でなくとも、普段当たり前のように使っている製剤への見方も変われば血友病ライフにおける多大な経験値が得られると思います。