7th ICAAP ユースフォーラム2005 in KOBE 報告 | ネットワーク医療と人権 (MERS)

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7th ICAAP ユースフォーラム2005 in KOBE 報告

(文責:特定非営利活動法人 ネットワーク医療と人権 事務局 鵜川圭吾)

 ユースフォーラム2005 in KOBE(以下:ユースフォーラム)概要

 ICAAPでは2001年第6回オーストラリア・メルボルン大会よりユースフォーラムが開催され、公式には今回が2回目のユースフォーラムになりました。ユースフォーラムはHIV/AIDSの分野で活躍している10代、20代の若者が集まり、若者の視点からの情報交換・交流・課題認識・政策提言など重要な機能を担っています。今回は7th ICAAPスキルズビルディングワークショップ小委員会のもとで、主に大学生を中心としたユースフォーラム実行委員会が企画、運営、実施までの全ての行程をアレンジしました。内容としては

  • 7月2日午前:国際フォーラム「ユースによる多様な予防活動」(神戸国際会議場502号室)
  • 7月2日午後:国内フォーラム「HIV/AIDSと社会との間」(神戸国際会議場502号室)
  • 7月3日:カフェ企画「カフェいこや ~Youth Cafe~」(神戸商工会議所イベントホール)

が行われました。また、7月3日の午前には「エイズウォーク」に実行委員、発表者ともども参加しました。7月5日の7th ICAAP閉会式においては、次回のスリランカで行われるICAAPにおいて、十分な条件を揃え、ユースフォーラムが実施されることを要請しました。

 以下で、ユースフォーラムの主なプログラムの報告・全体の成果・反省点を述べていきます。

 プログラム報告

国際フォーラム

 国際フォーラムでは、インド、ネパール、カンボジア、インドネシア、日本(神戸)から1人ずつ、ユース活動家を招いて、講演を行いました。どのスピーカーもそれぞれの国で、明確な問題意識そして問題解決へのアプローチ方法を構築し、活動をしていることがよく理解できました。以下に具体的に提示すると、

  • カンボジアのユース当事者による性教育プログラム・ピアエデュケーション育成
  • ネパール、インドネシアのフォーカスグループ(ゲイ)への予防啓発
  • カンボジアにおける難民の女性に対するアドボカシー・エンパワーメント活動
  • インドにおけるIDU(Injecting Drug User)に対するハームリダクション
  • 日本のHIV/AIDSと若者の当事者性との関連

についてでした。

 パネルディスカッションにおいては、それぞれの優れたプログラム、活動についての質疑応答が中心となり、総論的な部分が少なかったことは残念でしたが、ユースの影響力、キャパシティを十分に提示できたと思われます。

国内フォーラム

 国内の各地域から予防啓発に携わるユース活動家を招き、予防活動とスピーカー自らが感じる当事者性(スタンス、問題意識、現状把握等)について講演が行われた。HIV/AIDSと各スピーカーにどのような関連性があり、そしてHIV/AIDSをどのように捉えているのか、それぞれの主体性がありありと表現されていました。

 パネルディスカッションにおいては、それぞれが活動において重要と感じるキーワードについて、議論がなされました。ミクロ的な側面に偏っていた感はありますが、国内の活動家が感じる共通点、問題点について忌憚のない意見がたくさん出たフォーラムでした。

カフェ企画

 全国から、ピア・エデュケーションを行っている8団体が集まり、実際の活動を実演してもらう企画でした。関係者だけでなく一般の方々も対象にして、カフェの形式をとり、来場しやすい工夫を凝らしました。参加型のイベントでそれぞれの相違点、共通点を見出しやすく、来場者の方とスピーカーとの交流が密に持つことができました。

 成果

 今回のユースフォーラムは、7/2午前の国際フォーラムに133名、午後の国内フォーラムには137名、そして7/3のカフェ企画には約130名の方の来場がありました。また、各メディア(朝日新聞、読売新聞等)や、新聞社のホームページにも取り上げられ、HIV/AIDSに関わるユースの活動を社会的に認知させることに貢献しました。

 会議参加者のみならず発表者・発表団体・実行委員のネットワークの構築、スキルアップに大きく貢献したことも重要な成果だと思います。今回のユースフォーラムでは同世代の海外(インド、ネパール、カンボジア、インドネシア)から1人ずつ、国内からは約40名のHIV/AIDS関係者が一同に神戸に会しました。それぞれの発表内容、プレゼン形式、啓発活動の実演等により、多様性が混在した若者のありようを提示する機会、場を設けることができました。そして、発表者自身もしくは自分たちの団体を内省できる豊富な材料を揃えることもできたと思われます。

 実行委員会も周りの人々に支えられながらも、企画・準備・運営を遂行できたことは、今後の各個人の、そして日本のユースの発展につながる契機になったと思います。

 反省点

 今回のユースフォーラム全体を通じては、運営に重きを置きすぎたために、発表内容の詰め・事前打合せ等が不十分だった感があります。国際・国内フォーラムには一部で「焦点がぶれていた」「わかりにくい」等の批判も上がっていることにも現れています。主催者側としての企画・実行、司会・ファシリテーションとしての運営、そして発表者としてのプレゼンテーション能力の育成が不可欠であったと思われます。

 また、国際会議の経験がないこと、その経験が十分に伝えられていないことも反省点の一つです。頭では分かっていても、経験的にイメージがつかめないユースは、発表者はもちろんのこと実行委員でも大半であり、7th ICAAPにおけるユースフォーラム、その実行委員として、または発表者としての自分を位置付けできた者は少なかったと感じます。

 運営面においては、対外的に大きなトラブルは生じることはありませんでしたが、細かなトラブルが多数ありました。また段取りが不十分であったために、会議期間中でさえ準備のため多大な時間、労力を割いたこと等を考えると、一概に成功と言えるものではありませんでした。

 所感

 海外のスピーカーとの発表を通じて、日本のユース活動がまだ発展途上であることを痛感しました。海外からのゲストスピーカーの中には、政策決定者とのパイプを持ち、その国の省庁レベルで交渉をしている方もいました。比較して日本ではHIV/AIDSの予防活動にしても孤発的なイメージであり、地域の草の根レベルの集団にとどまっている感は否めませんでした。もちろん、ローカルな活動を否定するわけではありません。しかし今後、政策決定等にユースとしての発言力を強める上では全国的、そして国際社会との窓口として日本のユース組織の総意を汲む機関が必要になると思います。他方で、ユース活動家は将来のHIV/AIDS活動家として教育されるべき存在であるとの見方もできます。いずれにせよ、今後の日本のユースの方向性を議論していかなければいけない時期にあると思います。

 政策決定と関連して、他の社会問題にも共通しますが、政策・情勢に関してユースを対象にした情報がユース世代に与えられているのかという疑問を持ちました。当事者参加が叫ばれている今、政策決定において参加はまだしも、その情報すらも与えられていない、言い換えるとアカウンタビリティが果たされていない現状があると思います。ユースの発達段階を考慮に入れなければなりませんが、例えば公教育の中において、今の若者を取り巻く現状(政策等も含めて)を伝えていく等の施策が必要だと思います。

 また、フォーラムの中で「ユース活動家は『ユース一般』を代表しているのか」という指摘がありました。どのようなコミュニティの組織においてもある程度、そのコミュニティのコンセンサスを得て活動していることは想像にかたくありません。しかしながら、ユースの団体の場合は「大人」の主導の下、「大人」の評価にとらわれすぎているように思います。もちろんそれも重要なことではありますが、対象となる「ユース一般」の評価をどう汲み上げるかについて、その効果的な手法を模索する必要があると思います。

 全体としてユースは発展途上であるため、多くの面(時間、資金、経験等)で「大人」に比べ、乏しいことは致し方がないと感じます。どのような社会資源が優先的にユースに与えられれば、力を十分に発揮できるきっかけになるかを体験的に感じられました。

 最後になりましたが、HIV感染から自分を守ること、そして受け身ではなく、周りの人々に対して問題解決にアプローチする主体としてのユースを強く感じた会議であったと思います。