みんなのくるま2004 参加報告 | ネットワーク医療と人権 (MERS)

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みんなのくるま2004 参加報告

(文責:特定非営利活動法人 ネットワーク医療と人権 事務局 鵜川圭吾)

みんなのくるま2004
日時:2004年6月6日 10:00~15:30
会場:兵庫県立総合リハビリテーションセンター
主催:財団法人いしずえ(サリドマイド福祉センター)
協力:特定非営利活動法人 ネットワーク医療と人権 他

本イベントのチラシは こちら

 当日の流れ

 当日は雨の予報にもかかわらず、快晴で日焼けをするほどの日差しに見舞われました。私が参加しました「みんなのくるま2004」は今年で4回目、今までは関東で行われていましたが、今回は初めて関西で行われました。このイベントは、障がいを持っている人の移動環境(主に交通環境)に主眼を置き、免許制度、福祉車両、バリアフリーに関しての問題提起、世論喚起、情報提供を行うものです。午前の部では講演とパネルディスカッション、午後の部では車両展示、試乗運転が行われました。参加者はおよそ200人程度が集まり、盛況なイベントでした。

 午前の部(講演、パネルディスカッション)

 講演では各演者それぞれ、車に乗るようになったいきさつ、免許を取得するにあたっての苦労話、所有する車の特徴などが話されました。

 「障がいを持っている人が自分で車(二輪車)を運転するなんて…」という気持ちは、健常者ならずとも当の演者達も同様に思っていたようです。けれども、「車(二輪車)を運転することで生活が一変した!」と生き生きと語る講演者に圧倒感さえ覚えました。

 その一方で、免許を取得する際の行政、教習所の対応などに不快感、無力感を覚えた講演者もおり、障がいを持つ人も車を運転するのが当たり前の社会になるにはまだまだソフト面、ハード面共に環境が整っていないことを浮き彫りにする内容であったと思います。2002年6月に道路交通法が改正され、障がいや病気の理由で資格(運転免許)を与えないという欠格条項が廃止されました(逆にある特定の疾患・障がいについては新たな差別問題を引き起こす条項が作られている)。しかし、法はあっても、現場の交通関係に従事している職員が知らない、理解していない。また、地域間で条項撤廃の理解度に格差が生じているとなれば、やはり当事者が声をあげていくしかないのか、という思いにもなりました。

 ともあれ、講演者の方々の「免許をとって、車に乗ってみてください!!」との強い呼びかけに心を動かされる参加者も多かったと思います。

パネルディスカッション

 後半のパネルディスカッションでは、上記の欠格条項の廃止に関わる問題、免許取得時のコスト等、「運転する前段階に生じる問題」と交通バリアフリー、健常者サイドの無関心の問題等、「実際に運転する際に生じる問題」の2点が主な議論の対象となりました。

 前者は上にもありますように、地域間の格差の問題、行政・教習所職員の無知が問題としてあがりました。無理解な職員とねばり強い交渉によって解決された話や、教習所自体がバリアフリー化されておらず建物内に入ることが出来ないなど、交通という分野が健常者主体で構築されたということが改めて実感されました。ちなみに、障がいを持つ人の免許取得しやすい施設(リハビリテーション施設+教習所)が全国に5カ所あり、民間の教習所においてもわずかではあるが設置されています。

 また、車両自体に係る費用の問題が大きく、車両、それに係る改造費、免許取得も兼ねている場合は助手席側にブレーキを設置するなどの自動車教習用の改造となってくると、車両プラス150万円程度の費用は覚悟しなければならない状況です。海外においては、車両自体の費用だけで、あとの改造費に関しては行政からの助成金が出る国もあり、日本に比べて福祉車両の普及率に大きな差が生じています。日本における自動車改造費の助成金は、地方自治体単位で異なっており、助成金を出すところもありますが、改造する箇所に制限があります。

           四つ葉マーク

 続いて、実際に車両で障がい者が地域に出たときの問題について議論が進みました。上肢に障がいをもつ増山氏が実際に車を走らせて、様々な交通の要所(ガソリンスタンド、駐車場、高速道路etc.)を回る映像が会場に流されました。主には、自動発行機が普及し、無人の施設が増えたために苦労をされている内容になっていました。その他にも車椅子マークのある駐車スペースが健常者によって使用されていたり、公安委員会が発行する駐車禁止除外指定証を乱用されているなどの問題点も指摘されました。一般に言われている交通マナーを守っていれば問題にはならずに済むものもあり、健常者サイドの気遣い・教育によってカバーできる側面が大きいと感じました。

 また若葉マーク(初心者標識)・紅葉マーク(高齢者標識)と同様に、四つ葉マーク(身障者標識)という努力義務規定で車両につけるマークがあります。そのマークにしても、「障がい者が運転する車は危ないから、注意を!」という意図が含まれていることが示唆されました。マークを貼った車への幅寄せや割り込みを禁止したものです。けれども、障がい者が運転する車に事故が多いという統計的なデータが示されたわけでもなく、健常者サイドの思いこみによるところもあります。

 午後の部(車両説明、試乗・同乗体験)

  車椅子に乗ったまま乗り込むタイプの自動車

 午後からは各自動車メーカーが出している車両の説明と共に、実際に運転されている方の車を運転、同乗させてもらいました。

 各メーカー(ホンダ、三菱、トヨタ、日産etc.)の社員から、当社が出している車両の説明がありました。車両の種類が一番多かった車体が車椅子の方を対象とした車でした。車椅子を車両に格納するタイプから、新しいタイプで言えば車椅子に乗ったまま車に乗り降りし、運転できる型もありました。各社が競っているため、車椅子の格納方法、乗り込み方法等は各社それぞれでタイプがあります。例えば車椅子の格納方法でいえば、運転席から手動で格納、後部から手動で格納、クレーン式、レール式、リモコン式などです。その他には日本では「ホンダ」しか開発していない足動車(そくどうしゃ)、ハンドルではなくジョイスティックを使用して運転する車両などいかに残存能力を活かすかに力点が置かれた車両が説明されました。また、ウィンカーの切り替え、乗り込む際の補助椅子、ハンドルの軽さなどの細やかな配慮が至るところで見受けられます。

 もう一方で、メーカーによらず自分(バイク屋に頼むなどして)で簡易に改造していたのが、二輪車両でした。クラッチとブレーキ両方を片方のハンドルや足の方に集める方法で、上肢の障がいを克服している方もいました。

片手用バイク

 試乗は無理でしたが、その代わりに足動車に同乗させてもらうことができました。手で運転していないのに、ハンドルが回ることに奇妙さを覚えましたが、通常の車と変わらず、スムーズに走行されていました。けれども、足で運転するというイメージが頭の中で先行して、少しドキドキしましたが…。

足動車

 総じて、改造するといっても、基本的には通常に運転できる機能が備わっていることが法的な条件としてあります。よって、当該車両には通常運転機能とその人の障がいに合わせた機能とが二重に備わっています。また、現在のところ各メーカーの車両のオプションとして機能を取り付けるため、車種は限定されるということがあります。けれども、今後このような自助車両の普及が進めば、自然に車種も広がり、どの車にでも設置出来るという機器が開発されるのもそう遠くない話ではないだろうと感じます。