MERS ニュースレター No.15 巻頭言 | ネットワーク医療と人権 (MERS)

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MERS ニュースレター No.15 巻頭言


 お笑いのショートコントなどで、互いの勝手な思いこみのまま会話を続けている様子が繰り広げられるのを見かけます。周りの人間から見ると、そのコミュニケーションの中身がかみ合っていない光景が非常に滑稽で、ついつい笑って吹き出してしまうことがありませんか?

 けれども同じようなことが自分の周りでも起きていることに気がつきます。コントのように大袈裟ではないにしろ、仕事の打合せや会議などで、ある事柄や言葉に対する捉え方・価値観が各自で微妙に異なっていて、議論がかみ合わないことがあります。もちろん日常の何気ない会話の中でも、よくあることだと思います。

 昨年10月に主催したフォーラム「生命(いのち)を育む思想」では、「一般的な価値観はいかに作られるのか」ということに議論が十分なされなかったと指摘されました。つまり「病気とか障害は何をもって決められるのか?」ということです。どういう状態が健康で、何が幸せなのか、ひとりひとり捉え方が全く異なっているはずなのに、今の医療や福祉を「誰が、どのように決めているのか」が明確ではないということなのです。政治とか、経済とか、科学とかを抜きにして、ひとりひとりが本当に身も蓋もない議論をできるようになって初めて、「生命を育む」ことについて考えられるのです。

 このような指摘を受けて、今世の中で言われている病気や障害の多くは、医療保険制度であったり、法律であったり、誰かが「この状態は**だ」と定めているに過ぎないと気づかされ、そしてこの仕組みがうまく整っていないために、現実に苦しんでいる人たちが大勢生きているのだということを再認識させられたのです。そんな風につらい思いをしている人たちが少なくなり、多くの人たちが幸せと思える社会を目指すため、何ができるのかを改めて考えています。

 

2007年7月
特定非営利活動法人 ネットワーク医療と人権
理事長 若生 治友