取材報告 松原高校総合学科「コンペティション2006」 | ネットワーク医療と人権 (MERS)

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取材報告 松原高校総合学科「コンペティション2006」

心が洗われた1
-松原高校総合学科「コンペティション2006」に参加して-


(文責:特定非営利活動法人 ネットワーク医療と人権 理事長 若生治友)

大阪府立松原高等学校 1学年「産業社会と人間」 発表大会
コンペティション2006 Heartful Present ~心に火を灯そう~
日時:2006年2月14日 10:30~16:00
会場:大阪府立松原高等学校 各教室

 はじめに

 去る2月14日、大阪府立松原高校総合学科で開催された「コンペティション2006『産業社会と人間』」の審査員として参加してきました。「産業社会と人間」という取り組みは、今年で10年目を迎えるそうですが、生徒も教師も共に社会とつながって、社会体験などを通して視野を広げることを目的にしています。今回のコンペティションは、「Heartful Present ~心に火を灯そう~」と名付けられ、「野宿者」「子ども」「高齢者」「HIV/AIDS」「オブジェ製作」の5ジャンルに分かれて発表大会が行われました。私はHIV/AIDSの担当の審査員を依頼されたのでした。

 同世代の目線

 私が、松原高校の「HIV/AIDS」に関する取り組みを知ったのは、2001年頃だったと思います。松原保健所と松原高校が協力しあって「るるくめいと」というグループを立ち上げたのだそうです。「知る」「考える」「動く」ことから名付けられ、同世代の若者から若者へHIV/AIDSの知識や予防法などを伝える活動をしていることを知ったのです。毎年新たな「るるくめいと」が全国的に活動を展開し、今年度は4期生が7th ICAAPなどの場で活躍しています。

 松原高校の「HIV/AIDS」に興味を持った生徒たちが、同じ10代の若者たちにメッセージを伝えようとする姿勢は、同世代の目線から、非常にリアリティのある、説得力のあるものだと思います。この取り組みが全国的に広がって大きくなれば、我が国の感染者増加に歯止めがかかるものとして信じてやみません。

 発表と振り返りを見て

 今回の発表大会では、HIV/AIDSに関して11グループ(1グループ5-6名)が発表を行いました(表参照)。テーマとしては、疾患の説明・予防にとどまらず、コンドーム装着の実際、治療法、南北問題(AIDS孤児、途上国の現状)、同性愛、セクシャリティ、血友病、薬害エイズなど、各班それぞれが非常に多様なテーマを取り上げて、寸劇などを通して分かりやすく説明していました。

(表)発表された11の様々なプログラム

 私に求められていたのは、血友病や薬害エイズに関する発表に対するコメントと評価だったのですが、日頃から自分自身の評価や振り返りが十分できていない私が、他人を審査することということに非常に辛いものを感じました。しかしながら、いろいろな手作りのプレゼンテーショングッズを駆使しながら、真剣に発表している様子を見ているうちに、なぜか清々しい気持ちになり、だんだんと引き込まれていったのでした。

 後日、各自がこの一年を振り返った文章が届きましたが、それを読むと発表当日までの苦労や、個人個人の思いが伝わってきて、各自が何かを感じ・得たものがあったのだと確信しました。今回の経験がこれからの人生の中できっと道標の1つになることは間違いないでしょう。

 最後に

 最近、世の中では嘘で塗り固められたような事件が多発しています。これらのニュースを聞いたり、日々の業務に追われたりしていると、ストレスになったり心が暗くすさんで今にも悲鳴を上げそうでした。しかし今回、若い人たちの純粋で熱心な発表や振り返りを見聞きして、本当に心が洗われる思いがしたのです。彼らのひたむきな態度や情熱は、むしろ大人といわれる人々の方に見習うべきことが多い気がしました。

 彼らには、今回の「産業社会と人間」をきっかけにして、これからも社会が抱える様々なことに興味を持って関わって欲しいと思います。私たちの役割は、彼らの熱い想いをもっと社会へ広めていくために何ができるかを考え、知恵を出して行くことだと思います。

 最後に、このような機会を与えて下さった多くの関係者の皆様、そして、なにより「主役」であった若い人たちに感謝したいと思います。


 2005年10月に、るるくめいとの本が出版されました。聞けば初版は完売で現在増刷している様子。ぜひ手にとって読んでみて下さい。下記は、せせらぎ出版ホームページより。

 

今あなたにも伝えたい
-高校生がつくったエイズ・ピア・エデュケーションのーと-

るるくめいと 著
ISBN4-88416-150-5
定価:1000 円


若者のHIV感染が増え続けている。性・エイズについて、公演活動を通して同世代に発信をはじめた高校生たちがいる。るるくは「知る・考える・動く」の意。性教育へのバッシングなど大人社会からの向かい風にもあいながら、その風をも成長の糧とした彼らによるエネルギーあふれる一冊。第一には性にしっかり向き合いエイズの正しい知識を身につけてほしい若者に、そして若者との対話が必要な大人にも。