MERS ニュースレター No.1 巻頭言 | ネットワーク医療と人権 (MERS)

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MERS ニュースレター No.1 巻頭言

ネットワーク医療と人権 理事長 若生治友


 私は現在、近畿のエイズ診療のブロック拠点病院である国立大阪病院で、HIV診療スタッフの一人として働いております。それ以前は、血液製剤でHIV感染した血友病患者家族の救援団体のNGO職員として勤務しておりました。ちょうど横浜で国際エイズ会議が開かれた頃ですので、6~7年薬害エイズに関わってきたことになります。

 その当時は、今のような政策医療としてのHIV医療は未熟で、抗HIV薬にしても、アメリカに比べ大きく遅れを取っていました。そのため、多くの血友病患者たちが、無念な想いを胸に亡くなっていきました。私は、救援活動をしながら、その悲惨な状況を見るにつけ、何ら救済策をとらない政府や製薬メーカに対して、非常に大きな憤りを感じていました。やがて薬害エイズは1996年に和解を迎えますが、政策医療にも大きな転機が訪れ、エイズを発症して亡くなる患者も減っていったのでした。

 HIV医療は、HIV訴訟の和解以降、原告団が厚生省と交渉を進めながら徐々に改善されてきました。けれども、医療現場において薬害が起こらなくなったと言えるでしょうか?  答えはNoです。薬害スモンによって薬事法が改正されたにもかかわらず、薬害エイズが起こり、その後も残念なことに薬害CJDが引き起こされてしまいました。なぜ、このように薬害は繰り返されてしまうのでしょうか?  これは実に残念な事だと考えます。未だにこの社会には、薬害が引き起こされる土壌が厳然と存在していると言わざるを得ません。

 私たちはこのような現状を憂慮し、今こそ薬害エイズに関わった者たちの使命として、二度と薬害の起こらない未来・社会を実現するために立ち上がらなければならないと考えたのです。私たちネットワーク医療と人権は、薬害エイズの総括を行い、薬害を引き起こす問題点や社会の矛盾を洗い出し、広く提言を行っていきます。そして旧態依然とした薬事行政、医療行政、血液行政を改めていきたいと思います。薬害エイズの総括には、多くの困難が待ち受けていると思いますが、この苦難を乗り越えなければ、薬害のない社会は訪れないといえます。ネットワーク医療と人権は、このような使命と強い決意を胸に設立しました。各方面の方々には、今後とも多大な協力をお願いすると思いますが、どうかよろしくお願い申し上げます。

 また、このたび「ネットワーク医療と人権」のニュースレター第1号発刊の運びとなりましたが、今後、薬害・医療・人権等に関わる問題を取り上げ、特集・連載を組んでいく予定です。ご期待下さい。

 このニュースレターで取り上げたい内容など、できるだけ皆様の関心に答えていきたいと考えておりますので、ご意見・ご要望をお寄せ下さるようお願いします。